歯周病と矯正治療

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古くから歯周病の分野では、「歯並びが悪いとプラークコントロールが不良になり、歯周病を進行させる」などと言われてきました。そして歯周病が進行するにつれて、自然に病的な歯牙移動がおこり歯並びも乱れてくるため、歯並びを改善する矯正治療は歯周治療の一部として認識されはじめました。このような歯周病を伴った方の矯正治療を『歯周矯正治療』と呼びます。歯周病患者において歯を正しい位置に移動させると、咬合力の負担が歯に対して適切な方向に分散されるために周囲骨の一部が回復するなど、近年では『歯周矯正治療』が歯周治療後の歯周組織の安定性に一役を買うといった報告も増えてきました。

以下に歯並びがよくない状態で歯周病が進行した場合によく起こる問題例を示します。

32歳 女性

歯並びが悪い部分の虫歯と歯周病が進行し結果的には2本の歯を失った。

32歳 女性症例

51歳 男性

下の患者様のように歯周病が進行するにつれて、前歯が前方に傾斜し、歯のすきまが開いてくる現象を『フレアーアウト』といます。原因は奥歯を失ったことや、重度歯周病により奥歯がゆるんだことです。その結果、奥歯のかみ合わせの支えを失い、上の前歯が下の前歯により突き上げられることにより進行します。治療法は残っている歯の徹底した炎症の除去と歯を失った部分にインプラント治療を行い、しっかりとした奥歯を確保することです。

51歳 男性症例

43歳 女性

悪い歯並びを悪化させる要因に歯周病がありますが、さらに加速させる因子に力の問題、例えばブラキシズム(歯ぎしり)や咬みしめなどの悪習癖があります。以下の患者様は特に矢印で示す犬歯部分などで異常な歯の咬耗が認められます。歯列全体が前方に倒れだし、さらに咬み合わせが不安な状態になってきています。 

43歳 女性 症例

では歯周病により病的歯牙移動を起こした歯並びを、なんでもかんでも簡単に矯正移動させていいのでしょうか?答えはNO!です。歯周炎患者(歯肉炎患者を除く)を対象にした研究では、『4mm以上の歯周ポケットのある歯の移動時に、歯周ポケット内にプラークや歯石などが存在すると、矯正力がよけいに歯周病原菌の活動性を高め、歯周病を悪化させてしまう』といった報告があります。かと言って、まったく歯周病患者において矯正治療は無理かというとそうではありません。歯周治療後、病態が安定した状態であれば、無理な力をかけすぎない範囲で行えば、特に歯周病を悪化させてしまう(周囲骨を失うリスクが高まる)わけではないとする報告もあります。ということで実際の歯周矯正において、矯正治療前に歯周病の検査及び治療を行い、かつ治療中は通常の矯正患者以上にプラークコントロールなどに配慮する必要性があります。以下に『歯周矯正治療』の流れを示します。まず、歯周病の診査・診断からはじまり、歯周治療を優先します。歯周ポケット内の歯周病細菌量を減少させ、一定以上の歯周組織の安定が得られてから歯周矯正治療を開始します。治療中はもちろんのこと、治療完了後も歯周病再発のリスクがあるためにメインテナンスで来院して頂き、同時に歯並びの管理も行います。

①歯周治療②矯正治療③メインテナンス

歯周病は専門性の要求される特異的な慢性疾患です。以下に歯周病に関する基礎知識へのリンク先を示します。歯周病について詳しく知りたい方はご確認頂ければと思います。

矯正治療でよけいに歯を悪くさせないために

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という訳で歯周病がコントロールされていない状態で、不用意に矯正力をかけるとさらに悪化させてしまうリスクがあることは理解して頂けたと思います。そして重度歯周病では矯正力による影響以前の問題で、すでにかなりの周囲支持骨が失われています。そのために、歯をきれいに配列しても結果的に咬合力に耐えうる環境が保てず、結果的に抜歯が必要になる場合もあります。歯周病が重度であるほど歯の移動は簡単ですが、結果的に矯正治療単独のアプローチでは、全歯列の問題を解決できないことがあります。よって『歯周矯正治療』においては、以下に示すような‘さまざまな治療オプションを含めた選択肢’を検討することは非常に大切なことです。『歯周矯正治療』は矯正治療以外の知識や治療技術が要求される複雑な領域である故に、大学なども含めて矯正歯科での対応があいまいことが多く、しばしば患者様が行き場をなくしているような状態が見受けられます。

歯周病の進行により骨支持が失われたレントゲン像

歯周病の進行により骨支持が失われたレントゲン像

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『歯周矯正治療』においては‘さまざまな治療オプションを含めた選択肢’を考慮する必要があります

  • 支持骨の少ない歯を矯正移動に参加させずに、前歯だけなど限定された範囲での矯正治療で目的を達成できないか?
  • 支持骨の少ない歯を最小限度の負担(矯正力の大きさ、移動量、期間など)で移動させて目的を達成できないか?
  • 歯周矯正治療(歯周治療→矯正治療)後に冠やブリッジなどの補綴治療が必要にならないか?
  • 歯周矯正治療(歯周治療→矯正治療)後に部分的なインプラント治療が必要にならないか?
  • 歯周矯正治療(歯周治療→矯正治療)を行うよりも、すべての抜歯をして全顎的なインプラント治療を計画した方が、長期的にみて患者負担(費用、治療期間、治療に関わる患者様の労力など)が小さくできるのでは?また、治療後の安定性も優れるのではないか?審美的な仕上がりも満足するのでは?

以下に当院の歯周病患者における3パターンの治療症例を示します。参考になれば幸いです。

【症例1】 中〜重度慢性歯周病患者における部分歯周矯正症例

現在の歯の状態

45歳 女性

最近前歯が出てきたような気がする。矯正で歯並びを引っ込めたい。できれば前歯のがたがたもなおしたい。見えない矯正装置希望。

【症例解説】矯正治療による前歯の歯並びの改善を希望されましたが、歯周病の疑いがあったので歯周組織検査とレントゲン検査を行いました。すると中〜重度の歯周病と診断されました。この状態でいきなり矯正治療を開始すると余計に歯周病を悪化させてしまうと判断されたので、矯正治療に先立ちプラークコントロールや歯石除去を含む歯周初期治療を行い、ある程度歯周組織が安定が得られた後に歯周矯正治療を開始しました。

術前

術前レントゲン写真

レントゲン写真では中~重度に進行した周囲骨の吸収が確認された。

歯周病の歯への矯正力の負担を軽減するために、必要最小限度の範囲に絞って、前歯のみの部分矯正で対応することとしました。患者様の希望にあわせて裏側からのリンガル(舌側・裏側)矯正装置で治療を進めました。

術前症例

before & after

術前 術後

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【症例2】 中度慢性歯周病患者における全顎歯周矯正症例

現在の歯の状態

32歳 男性

歯並びを治したい。矯正歯科で相談した所、歯周病があるので難しいと言われた。同時に歯周病も見て欲しい。

【症例解説】歯周病ということで歯周組織検査とレントゲン検査を行うと、やはり中程度の歯周病と診断されました。この状態でいきなり矯正治療を開始すると余計に歯周病を悪化させてしまうと判断されたので、矯正治療に先立ちプラークコントロールや歯石除去を含む歯周初期治療を行い、ある程度歯周組織が安定が得られた後に歯周矯正治療を開始しました。

術前

術前レントゲン写真

レントゲン写真では中程度に進行した周囲骨の吸収が確認された

術前症例

流れ

診断の結果、叢生(ガタガタな状態)の改善を行い、反対咬合を改善するためには、4本の永久歯便宜抜歯によりスペースの確保を行う必要がありました。

歯周病であることから、歯周組織への負担に配慮した歯周矯正治療を行いました。

抜歯矯正(抜歯を伴う矯正)で、表側からのマルチブラケット(ブレース)治療を行いました。正面から見た変化を示します。

流れ1~4

上下の咬合面から見た変化を示します。

流れ1~3

before & after

術前術後

歯周矯正治療終了後の6ヶ月に1度の定期検診5年目の口腔内

※歯ブラシ(プラークコントロール)もいい状態で、歯周組織は非常に安定していた。
※同じく歯並びも非常に安定していた。

5年後

5年後症例写真

before & after

術前 術後

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【症例3】 重度慢性歯周病患者における全顎的抜歯即時負荷インプラント症例

現在の歯の状態

57歳 女性

かかりつけ歯科医院へ歯周病の治療で定期的に通院していた。しかし、だんだんとぐらぐらになり何本か抜けた。ブリッジ治療を希望したが、残りの歯の状態もあまりよくないので、負担を考慮してブリッジにはしないほうがいいと言われた。インプラントの話をしたが、歯周病であることと骨が足りないので無理だと言われた。歯が前歯がどんどん出てきたような気がする。現在、とりあえずぐらぐらしている歯を接着剤で固定してあるが、すぐに外れる。みかけも悪いので、きれいに治療して欲しい。この際、しっかりと噛めるように治療して欲しい。

術前

術前症例写真

【症例解説】
全顎的に重度の歯周病が進行し、ほとんどの歯が弱っている。一見すると、たくさんの歯が残っているように見えるが、ほとんどの歯において将来性はない。特に奥歯の咬合支持が失われているために、前歯に負担が集中しフレアーアウトしている(出っ歯な状態)。かみ合わせの崩壊を改善できるような治療計画を立てる必要がある。確かに、前医の言われるように奥歯の部分での骨量も十分ではない。そして患者の主訴である審美性の改善などを含め、総合的に考えると全顎インプラント治療が適切だと判断された(上顎all-on-6 / 下顎all-on-4)。
全顎的にインプラント治療を行う場合、治療期間中の社会生活をどう守るかは重要なポイントである。多数の抜歯を行いインプラント治療を行うならば、患者様の仕事の関係上、早期に歯を入れる必要があった。そのために手術直後に仮歯を装着できる即時負荷インプラント治療を計画した。
長期的なことを考慮し、メンテナンス時に外して清掃することが可能なスクリュー固定式の上部構造ブリッジを計画した。

術前症例2

前医の指導によりブラッシングの状態は悪くないが、支持骨の喪失により歯と歯の隙間がかなり大きく認められる。ぐらぐらしている歯はとりあえず接着剤で固定されてある。

初診時の口腔内

大臼歯を失ったことにより、特に小臼歯部に咬合力が集中し、支持骨の喪失とともに顕著な歯肉退縮が進行し、全部の歯が前方に傾斜するような形で咬合崩壊が進行している。

初診時の口腔内2

奥歯の咬合支持の喪失により、前歯部のフレアーアウトも認められる(出っ歯な状態)。

初診時の口腔内3

全顎インプラント手術に備えて、各種検査を行う。重度歯周病のための細菌検査も行った。

歯周病細菌検査の流れ

歯周病細菌検査の流れイメージ

各種検査結果

各種検査結果イメージ

上下顎に残っている21本を抜歯し、すぐに上顎6本、下顎4本、計10本のインプラント体を埋入した。固定度測定器でインプラント体の十分な初期固定が確認できたので、すぐに仮歯を固定し、手術直後から食事が可能な即時負荷(荷重)を行った。

抜歯即時負荷インプラント手術(上顎)

抜歯即時負荷インプラント手術(上顎)症例写真

抜歯即時負荷インプラント手術(下顎)

抜歯即時負荷インプラント手術(下顎)症例写真

手術から6カ月後、インプラント体と骨との結合を確認した後、最終仮歯の作製・装着を行った。この段階になってようやく、最終形態を煮詰めていく。下の写真は最終仮歯を装着した状態を示す。一定期間インプラント体の状態や、患者様の満足度を確認させて頂いた後に、仮歯と同じ形態を模倣して最終上部構造の作製に移行していく。

抜歯即時負荷インプラント手術(下顎)症例2

長期的なことを考慮し、メンテナンス時に外して清掃することが可能なスクリュー固定式の上部構造ブリッジを計画した。金属フレームは強度及び軽さと生体親和性を考慮し、純チタン製フレームを使用した。

抜歯即時負荷インプラント手術(下顎)症例3

最終補綴物を装着した状態を示す。患者様には機能面だけではなく、審美面も満足頂いている。

抜歯即時負荷インプラント手術(下顎)症例4

before & after

術前 術後

外科&補綴医 :詫間俊夫
麻酔医 :大下修弘
技工士 :真鍋知房
手術管理衛生士  :西紋弥和 / 辻美紀

全顎インプラント治療について

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