歯列矯正と審美インプラント治療~コンビネーション治療の重要性~
当院に矯正相談に来られた時、生まれつき歯の数が足りない場合(先天性欠損)やすでに抜歯により歯を失った部分がある場合があります。そこで治療計画を立てていく訳ですが、理想的な治療結果を得るためにはインプラント治療が不可欠であると診断されることがあります。下の当院の症例はそういった典型的な例であり、矯正治療開始前にインプラント治療も視野に入れて治療計画を立てさせて頂きました。患者様にはインプラント治療の有効性を理解して頂き、術前診断においては矯正後のインプラント埋入手術に無理がないような配列イメージを模型上で確認して頂きました(下図1)。
ただ、現実的によくある相談では先に他院で矯正治療のみを行い、その後インプラントの相談でいきなり来院されるケースがしばしば見受けられます。その状態はベストかというとベストではありません。結局、再度矯正治療をやり治すことになるか、もしくは修正が必要になることが多く、その後にインプラント治療を行います。インプラントを含めた歯列を美しく仕上げるためには、部位ごとにインプラント治療に適切な環境(スペースなど)が必要です。現実的に、矯正治療しかされていない先生はイメージをもつことができても、具体的な審美インプラント処置のmm単位のズレの怖さを理解できないかもしれません。治療全体の責任の所在もあいまいになるために患者様にもリスクとなります。当然、審美インプラント処置自体もある程度の経験値と技術が要求されます。
欠損(歯がない部分)があり、矯正治療を検討されている患者様は早めにコンビネーション治療(複合型治療)に対応できる歯科医院で矯正診断を受けられることをおすすめいたします。
歯並びのゴールデンプロポーション
35歳 女性
前歯の歯並びをきれいにしたい。コンプレックスから開放されたい。
矯正開始前の口腔内の状態
インプラント治療を視野においた矯正治療計画
(模型配列診断)
矯正終了時の状態
欠損部(黄矢印部)はインプラント手術へ
矯正+インプラント+審美歯科治療終了時の状態
before & after
口腔内写真およびセファロレントゲン写真(矯正専用レントゲン)の術前・術後比較です。
また歯列矯正の専門性が薄い歯科医院で抜くべきでない歯を抜いてしまって、その後に患者様が相談で来院されることがしばしばあります。そこから理想的な歯列を獲得するためには、追加のインプラント治療が必要になるなど、時間や費用面で非常に無駄が発生します。たとえ歯がひどく重なっている場合でも、焦らずにまずきちんとした矯正診断を受けて下さい。抜歯の必要性や部位はその後に決定されるべきものです。かかりつけ歯科医院にこだわることなく、総合的な矯正診断や技術に対応できる歯科医院で相談されることをお勧めいたします。
よくある勘違い
横にはえてきた犬歯は抜いていいの?
現在もしくは将来矯正治療をお考えであれば抜かないで下さい。適切な診断力や技術力のある矯正歯科でまず相談されることをお勧めいたします。
以下の患者様は他院で必要のない抜歯後(側切歯)、相談で来院された患者様です。さらなる小臼歯抜歯後、矯正治療を行い、インプラント治療でフォローさせて頂きました。整合性のない治療は患者様の不幸につながると考えられるため、紹介させて頂きます。参考になれば幸いです。
30歳 女性
他院で歯並びの相談をすると、十分な説明もないまま、前歯を抜かれた。上下のかみ合わせをきちんと治して欲しい。
適切な矯正診断がなされずに歯を抜かれた場所 (側切歯) |
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さらなる小臼歯抜歯後、矯正よりインプラントに必要なスペース獲得 | |
歯の数が足りない部分をインプラント治療でフォロー |
欠損部に事前計画されたインプラント治療を行いました。
術前と術後の状態を示します。歯列矯正とインプラント治療のコンビネーション治療により歯列の調和が生まれ、審美的かつ機能的な状態が獲得できました。
before & after
セファロレントゲン写真(矯正専用レントゲン)の術前・術後比較です。