よくない歯並びを総称して不正咬合(ふせいこうごう)といいます。以下に示すような種類があり、さまざまな影響があります。
見かけだけでなく心身にも大きな影響を与えます。
- 食べ物をうまく噛み砕けずに、胃腸などの消化器に負担がかかる(咀嚼機能障害)
- 顎(アゴ)の発育や、顔の成長に影響を与えて、不調和をもたらす(発育障害)
- 言葉がはっきりしない(構音障害)
- アゴ(顎)の関節や筋肉の具合が悪くなる(顎関節症)
- 自分の歯並びに自信が持てずに劣等感を感じたり、内向的になる(心理的障害)
- 食べ物が歯の間につまりやすく、歯磨きがしにくく、むし歯や歯周病になりやすい
- プラーク・歯石などが停滞しやすく、口腔衛生環境の悪化による口臭の発生
- 咀嚼筋(そしゃくきん)の発達に影響を与え、筋力のバランスが崩れて姿勢も悪くなる
- 視力低下の原因になるといわれ、学力や運動能力の低下を招きやすい
- 前歯が出ている状態などでは外傷を受けやすくなる
良い歯並びで、良い咬み合わせを正常咬合といいます。正常咬合になれば、多くの問題が解決します。上下の歯が正しく咬み合い歯の接触面積が広くなり、咀嚼効率(そうしゃくこうりつ)が向上し、食べ物の消化・吸収が促進され、心身共に健康な状態になります。
成長期のお子様においては、集中力が増し学力が向上するといったこともあるようです。
また、健全な咀嚼活動(そしゃくかつどう)は脳神経の血流を促進し、老化予防にもつながります。
以下に歯並びの問題を放置したために、さらなる問題に発展した当院患者の症例を示します。参考になれば幸いです
20歳女性
歯並びが悪い部分のブラッシングが難しく、毎回学校検診では歯肉の炎症を指摘されていたようである。当院へ来られた時には、すでに若年性の歯周病へ移行していた。
35歳男性
歯並びが悪い所が虫歯になり、何回も虫歯治療を行なっていたようだが、結局は虫歯が大きくなり抜歯希望で来院された。結果的に問題の歯は抜歯になり、前後の歯も神経の治療が必要になった。
42歳女性
若い頃からずっと歯並びをなおしたかったみたいだが、結果的に矯正治療はしなかった。結果的に下の前歯4本は歯周病と咬合性外傷により42歳で抜歯となった。